自己形成における物語論・ナラティヴ・アプローチ的な本を読んでいたら、そこから社会学の構築主義へと広がっていき、いろいろ刺激を受けている。だが、ざっと読んでいて1つ納得がいかないのは自己形成における「語り=自己」ばかり取り上げていて、「聞き=他者」の意味がいまいちはっきりしないこと。

あえて言えば、語ることによって自己形成するのを助ける(補助する)的な意味合いに感じられる。だが、「聞き」は単なる受動の役割ではなく、「語り」と相互作用してその力を顕現させる的な、もっと深い意味があると思われるのだ。それは天秤座(7)蠍座(8)の構造図を描いていて、どうしても思わざるを得ないこと。

今まで描いてきた図をきれいに整理してみたのが以下の図。結構いい図だと思っている。

① 初期の頃の「自己→他者へ遷移」・「自己←他者へ遷移」

② 自己側と他者側それぞれの重なりあい

③ 物語性としての「語り」と「聞き」の相互作用

情愛的なテーマから、物語性・対話的自己のテーマへと発展してきた。

これらはすべて天秤座(7)蠍座(8)的な象意とつながっている。それらの根本の構造性といったもの。

○天秤座(7)自己は己を語ることを「他者に聞いてもらう」によって個体としての自己を構成する。それは他者の理解・承認・影響の中に包括されることで自分が作られる―ということ。だから他者をどうしても意識せずにはいられないし、他者の影響を受けずにはいられない。だが、その関係性は常に対等で、「語り」が「聞き」に飲まれてはいけないし、「語り」が「聞き」を押しのけてもいけない。相互の対等反応によって、自己が形成されるということ。

○蠍座(8)自己は他者の語りを「聞いてあげる」ことによって個体としての他者が構成されるのを助ける。それは自己の理解・承認・影響の中に包括してあげることで他者が作られる―ということ。だから、他者を深く理解しようとし、自分の価値判断を超えて他者自身の価値観で物事を見ようとする。だが、その関係性は常に対等で、「聞き」が「語り」に支配されてはいけないし、「聞き」が「語り」を支配してしまってもいけない。相互の対等反応によって、他者が形成されるということ。

この能力が蠍座の象意「セラピー・精神的ケア・心の傷の癒やし」とつながる。

そして、おそらく天秤座(7)蠍座(8)の意識が生体部分に顕現したのが精子と卵子だと思われる。精子は自己構成するちから。卵子は他者構成するちから。男性の身体は天秤座的な自己を構成する(語り)ちからを生殖部分として宿し、女性の身体は蠍座的な他者を構成する(聞き)ちからを生殖部分として宿していると。

これらはあくまで身体部位なので、男女それぞれ反対の部分は精神として宿していると思われる。男性の心の中にも他者を受容し、理解し、認めてあげる「卵子=聞き」としての能力を宿し、女性の心の中にも自己を構成し、他者に向かって語る「精子=語り」の能力を宿していると。